Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
毛利時親などという者は、かつて世間で聞いたことがない」
「お。……正季どのが、こちらへ見えます。ひとつ、正季どのに伺ってみましょう」
「御両所。ゆうべは、よくお眠りなされたか」
正季自身は、寝不足な朝の顔をして、そこへ来るなり二人へ言った。
「夜半すぎ、納屋へぶちこんでおいた忍ノ大蔵めが、縄目を噛み切って逃げようとしたのです。その物音で、きっと、ろくにおやすみ出来なかったろうとお察し申していたが」
「いや、全く気づきませんでした。お恥かしいが、正体もなく寝入ったものとみえまする。して、大蔵めは」
「五郎がちと手荒にしたので、今朝はぐったりと、ヘバっております。ところで、彼奴の成敗は、われらにお任せ願われようか」
「どうぞ、いかようとも」
頼春は、それを機に。
「さっそく、今朝は自分たちも、お暇をつげたく存じますが、ここの毛利時親どのとは、そも、いかなる御仁か、お聞かせおき下さるまいか」
「御不審よな。あれへでもおかけなさい」
正季は歩み出して、四阿亭のうちを指さした。
そこで二人は、楠木正季の口から初めて、ここの主の謎の全貌を、やや具体的に知ることができた。
毛利時親は、大江氏の族である。