Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
寸断され、包囲され、随所で苦戦におちていた。――しかるに尊氏軍は刻々と叡山一点にその重包囲を圧縮しつつある状だった。東坂本の下からも、西坂本の方面からも。
「……ああ、潮の中よ」
行宮の憂いは濃い。ただ望みは、奥州軍北畠顕家の援軍が、まに合うか、まに合わぬか、それただ一つでしかなかった。
奥州軍――
ここでそれの動きを見るには、どうしてもまず北畠顕家の人とその立場とに一章を割いておかねばなるまい。
こんどの、尊氏討伐の大命が発せられたさい――あの去年十一月二十日のころ――朝廷ではそれと同時に、遠い地の陸奥守顕家へたいしても、
直チニ発向セヨ
の檄を飛ばし、
郷軍、鎮台兵ノ全力ヲ挙ゲテ、北方ヨリ衝イテ上レ
と逐次、朝命を急達していた。
しかし、当時としては何しろたいへんな遠隔だった。
鎮守府の柵、多賀城のあった地は、いまの宮城県宮城郡多賀城町市川、岩切駅の東一里で、仙台から松島へ行く塩釜街道の途中にあたる小山である。
延喜年間の碑というそこの多賀城碑によれば、
京ヲ去ル、一千五百里
と見え――もちろんこれは古里の六町を一里とかぞえる大ざっぱな里程ではあるが――歩いての旅でも、片道二十五、六日といわれていた。