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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

よそ者

――いやそんな御奇特は一再でない。さきにも天野山金剛寺や観心寺やまた久米田寺などへも、同様な納経をしておいでになった。――すべてそれは一日もはやく天下泰平万民安堵の日が来るようにとの切なる御誓願にほかならない……。

爺は、わがおあるじを頌えることに得々となって、そう、しゃべりつづけていた。

くそおもしろくもねえ、と言いたげなソラ耳でいたのは一行の鳶七だった。それにつづいてはこの中に交じっていた右馬介である。――彼もこの老臣の饒舌などへは面もむけていなかった。――そしてはや水分神社の見える山坂道のほうへ小さくなりつつある正成の姿へ、飛び出すような目をして、じっと見送っていた。

よそ者

「蔦王。あるけるか」

「もっと早くですか」

「そうそう。そちは正行より一つ年下、わしなどには負けられんな」

蔦王の父、河原ノ入道は、一族の正家に附随して、遠い東国の常陸へ赴任しており、兄の九郎正次は、天王寺在番として残されている。母はいない。……で正成はそれとなく、日頃、あわれをかけていた。

しかしこのいたずら盛りは、今日しも正成の供にひとり選ばれて来たにかかわらず、目をはなすと、いつか正成のうしろにも見えず、とかく道くさばかり食っていた。