Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
正成はその日、六条へもどるとすぐ、祐筆の安間了現に願書をもたせて、宮廷の大納言ノつかさ(職局)へ使いにやった。
「――何とぞ不時ノ賜謁の儀をおはからい願いたく」と朝へ手続きをとらせたのだった。
「戻りまいた。――折よく閑院ノ権大納言さまにお目通りを得、仰せには、はかろうてやる、お沙汰を待てとのこと。まずは御聴許あるものとぞんぜられます」
了現の返事であった。
大納言のつかさは「天下喉舌ノ官」ともいわれる局である。聖旨を下達し、下の善言も納れる機関とあるのでそんな称もあったとみえる。
「そうか」
正成は安堵のていで、
「閑院の侍従がお扱いくださるるとあれば――」
と、やがての沙汰を待った。
この日いらい、どこやらに腹のきまったとも見える姿が彼の一両日を長閑けくしていた。――河内守左衛門ノ少尉という一朝臣の身は五位ノ官位にすぎず、単独で主上へ拝謁をねがい出るなどは、おこがましく、おそれ多いとも万々わかっていたが、やむにやまれぬ果てであったらしい。が、そこまでのつきつめた憂いも、帰結を心に観てしまうと、低雲一過、あとは迷うことなく暢々としているのも彼にきわだっている性情の一面だった。