Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
と、いいわたした。
「やめられません!」と、曹植はひざまずいて、涙の目で兄を見あげた。「――私。ほかに能もなく、ただ文学だけが生きがいなのです。詩を作るなと仰っしゃられても、自然と詩が心にうかんでくるのでどうしようもありません」
「ああ、きさまというやつは……。しかし群臣の目、軍紀のてまえ、そんな気ままはゆるしておけん。どうしても、詩を止めんなら、今日はきさまの首を斬って、父帝の霊に詫び、三軍にも示して、たとえ骨肉たりと、戦を厭う者はこうだぞという実証とするつもりだ。それでもやめんか」
「やめられません」
「よしっ。斬れッ」
と、文帝は後ろの兵へ手を上げた。がまた「いや待て」と、何かを思い返したらしく、
「植。まず立て!」
「はい」
「わしがここで、一イ二ウ三イ……と七ツまでかぞえるから、声に従って、七歩あるけ。そして七歩のあいだに一詩を作ってみせろ。出来なかったら途端に首を落すぞ。もし佳い詩を作したらぜひもない。よくよくな生れ損いとあきらめて、ゆるしてくれる」
と、厳命した。
力者は大剣のつかをつかんで傍らに立ち、文帝は指をあげて、一……二……三……とかぞえて行った。