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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

――義助は仮病だと信じこんで来たらしい。それは、千種忠顕が「――仮病らしい」と彼に吹きこんだからだった。

「義助か。……昼も見舞うてくれたそうだが、このざまでの。……しかし夜中に、何事がおこったのだ」

「別条ではござりませぬが、こよい千種殿のおやかたで、我慢ならぬことを耳にいたしまいて」

「播磨発向の遅延だろうが」

「それです」

「病には剋てん。いかな義貞たりとも」

「ところが、千種殿は、笑うておられまいた。義貞ほどな武将も、女にはだらしがないと。……そして、自分が左中将の切ない恋を察して取りもったことも、また、せっかくな主上のおぼしめしも、これでは逆になった、仇になったわえ……と、しきりなお悔やみ。義助として、黙ってきいてはいられませぬ」

「……で、そちは何とおこたえしたのだ」

「見とどけましょうと」

「見たろうが」

「その女性ですな」

「いや、わしが仮病か、仮病でないか、そのことをだ」

「それはわかりました。けれど千種殿のお疑いも、むりではない。時が時です。尊氏討伐を前にして、内侍の愛にひかれ、御門もとざしているとあっては」

「嫉っかみだ、世間の口は」

「いや何であれ、ご病気も嘘でないが、そこな女性と離れがたいお心もあるにはちがいない。