Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
船あつめ
様相すべて、ものの半日もたたないうちの一変である。
いったい、なにが?
何の作用が、この狂奔と大転機をよんでいたのか。――血の曠野はただ狂える物のようでありながら、尊氏の行く一勢のみは、それを中心に、続々と、騎馬鉄甲の影が厚くなって行くばかりだった。――おそらくは尊氏自身すらも、こう急激に凱歌の門が、こつねんと征野の前に開かれようとは、予想もしていなかったのではなかろうか。とまれ彼は、残敵を掃蕩しながら、その日の午後にはもう博多の内へ入っていた。
船あつめ
尊氏の博多入りは、歩武堂々な入市ではない。途々、降参人を入れ、掃蕩の余勢を駆ッて、いつか巷に乱入していたのである。
町屋を見ると、彼は急に、駒を辻に止めて、
「火を放けるな。路地へ逃げこんだ雑兵などは放ッておけ。ただ町口に木戸を設けて警備に付け」
と、命じていた。
町そのものは案外なほど平静だった。戦争は別世界でしていることと見ているような表情なのだ。概して、この地の建物も住民の皮膚も、中央や東国の民よりは、はるかに豊かで健康らしく思われた。玄海の磯の香、湊の風物、異国的な色調の橋やら客館など、尊氏には物なべて、