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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

「当時、何分にも、九州全土は、宮方一色の有様となり、いずれも宮方のとがめを怖れ合うておりましたので」

「そうか。いやむりもないことだ。きょうここに、尊氏が参ろうなどとは、当年、たれに予測しえたろうか」

ふと、彼は、身をかがめた。

そして両の掌に、足もとの土を拯い取り、それを持ったまま彼方へ向って歩きだした。前栽から大庭へ入ったひだりに、まろい山芝の築山がある。

何をなさるのか?

と、人々は怪しみ見ていた。大友具簡をはじめ、島津道鑑、少弐頼尚、ほか筑紫諸党の大将輩も、ぞろぞろ、彼のあとについて行った。

尊氏は、一塊の土を、築山のうえにおいた。そして、それを亡き英時の霊とみて拝すように、下へ退がって、ぬかずいた。

疑うまでもない。尊氏の多感な今日の胸はわかる。

乾坤一擲、勝って、博多の土をふんだのだ。そして、妻の兄英時が、あえなく滅亡をとげた恨みの地――探題屋敷の跡――へ勝者の将軍として十余年後のいま立った彼なのだ。

一塊の土へ向って。

彼がぬかずいたのは、自然な万感からであったろう。とりあえず、英時の霊へ、回向の意だったにちがいない。

だが、足利譜代の諸将はともかくいられたが、九州諸党の大将輩にしてみると、これは何か肌寒い。