Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
「それにちがいございませぬ。けれどもう、望みは子の代にかけましても、私たち親どもは」
「捨てたのか、夫婦で誓った一生の道は」
「ぜひものう」
「なぜ捨てた。そのような弱い意志では、長谷への御願もあだ事でしかなかろう。子の代へかけてまでの願望となら、親自体、子の根になって未来を培ってやらねばなるまい。命のかぎり、親も生きてやろうとはなぜしない」
「みすみす、あまたな人が、私たちのそばで死んで行きました。……千早のときでも、そのごの、お出先のいくさでも」
「だから……?」
「そのうえ、このたびはまた、御一族あまさぬお覚悟の戦立ち。……良人だけが物具捨ててよいものでございましょうか。また私だけが、久子さまや、ほか沢山なあとに残る女衆の悲しみをよそにしていられるものでもございませぬ。く、くるしゅうて。そ、そのようなことはもう」
「妹……」と、正成は彼女の身もだえをいたましげに。
「その切なさはわかる。だが、そなたでさえする苦しみは、またその責めは、正成がみなこの一身に負って征く。あまたの若者、沢山なこの郷の誰彼を、あえなく戦に送って死なせたのはこの正成だ。あたりの犠牲にみずからを責めて苦しむのはよいことだが、それはそちたちの科ではない。