Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
強悪正成一人の罪としておけ……」
「…………」
「よいか、くるしむなればその心でなお一命を長らえて、次代の世の償いに生きて行くのが真に命を愛しむというものだ。武者にはそれもゆるされん。したが何の、そなたたちは一たん武門を捨てていた者だ。笑わば笑え、一時の人沙汰など、どういわれようが笑わしておけばよい」
「…………」
「いや、夜もふけた。正成には明け方までに、まだまだ、心忙しいことがいくつも待っている。心得たろうな! 卯木、治郎左」
「…………」
「まだか。わからねばただ一語、勘当、ということばだけしか、あとはないぞ」
「あっ……」と、二つの顔は、いちど正成を見上げたが、ヒタと濡れつくようにまた咽び伏していた。「わ、わかりました! ……。ようわかりましてござりまする」
やがて。もうそこには卯木も治郎左衛門も見えなかった。ふたりが退がってからまもなくである。妻の久子が来て、正成へ、
「あすはまた、ひとしお、お忙しゅうございましょうに」
と、寝所へ移るようにすすめていた。
「いや、あらましの手はずはなった。あすはもう立つばかりのこと……。久子」
「はい」
「あすの夜は、はやわしは征旅の途中、そなたは、留守の者をかかえて、そなただけのこの家になるなあ」