Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
隅屋新左衛門など、いちいちは、あげきれない。なかでも、神宮寺太郎正師は、
「いかがでしたか、主上のみ気色は。また、ご首尾は」
と、たずねていた。
その正師とおなじように、彼の宮中における首尾を如何にと案じていたここの者は、すべての目で、正成のくちもとを見まもりあった。――うすうすには、正成の覚悟も、重大なけさの参内の内容も、察しとっていたらしいのである。
「されば……」と、正成は寄りたかる子らへ聞かせるように――
「主上には、ことのほか、ごきげん麗しく、御酒をたまわり、また一ト振りの御太刀をも正成へ下された。いや正成一個にとどまらず、すべてわが一族へふかいお恃みをかけおわすもの。一同の面目と思うてよかろう」
そして、すぐ、
「正師。貝を」
と、命令に移った。
この原にあるものが、正成の持つ総勢だった。あわせて六、七百騎。これをかつての新田左中将が発向したときの偉観にくらべれば、比較にならぬ小勢である。
しかし、ひとたび貝の音に、その陣制がぴしと揃うと、序列、歩調、ひとつのものが揺るぎうごくようだった。――染屋の干し場にいた男女も――その秩序美に見とれていた。