Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
という。そしてまた、行った先も、帰るか否かも、わからぬという話であった。
「はアて? どちらへ」
正季はがっかりした。
急にあたりの松風が耳につく。俊秀と五郎は、あきらめきれぬように中へはいって、茅屋根の下の破れ戸を覗きまわった。――と、思わぬものがそこにひかえていた。一匹の蟇だった。逃げもするふうではないのである。むしろこれへ入って来た闖入者の来意を問わんとするかのような態度だった。またどこか、吐雲斎の毛利時親の風貌を思わせるようなところがなくもない。
「ぜひもない。残念だが、引っ返そう」
やがて去りゆく三人の影にも、蟇の背にも、空の松からこぼれ降る陽が血みたいに赤かった。
三騎して山道を海印寺の辺まで降りかけて来たとき、さきの俊秀が、正季をふりむいて、
「お。京方面から、山崎の下へさしかかって来る一軍が見えます。もしやおやかたの御本軍ではありますまいか」
と、指さした。
あるいは? と思われた。いやまぎれない菊水の旗幟がすぐわかった。で、正季たちは、ふもとの西国街道で駒をおりて待っていた。――近くにある破れ築土は、水無瀬ノ宮の址らしく「伊勢物語」に