Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
「よういわれた。義貞の希いも、一に朝家のご安泰のみ。もし世が逆賊の手になど渡らば、この国のすがたはない。……しかるに」
と、彼はつい口に出した。いうべきでないと、心で制止しながら、止められなかった。
「――このさい朝廷は、義貞を退け、尊氏と和して、時局を収拾すべきであると、賢者顔して、堂上へ献言した、おかしげな小才子も、先頃にはあったという。ははははは。河内どのには、何と思われるな」
正成は針でさされたように片目をしばだたいた。そしてニコとした。もちろん、義貞の笑いとは、まったく質のちがった苦笑ではあった。
「いや何、左中将どの。その献言した者とは、ほかならぬ私です。この正成にございまする」
「御辺だと。――」と、義貞は片方の膝を大きく構え直して、聞き捨てならんとして見せた。
「まず……」
正成は一こう反射をうけていない。彼の怒色を見ても、自分はくつろぎ切った姿でいる。――そして、それらのことについては、こよい、自分からすすんでお話したいところであったと言い、
「それもこれも、ただ朝家のお為と、たくさんな人命の犠牲を惜しむばかりに申したことで、決して、尊氏をおそれ、左中将殿にお恨みがあって、讒したわけなどではありませぬ」