Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
高見して来い」
と命じていた。五郎はすぐ彼方の小高い所へ駈け行き、渇きを医した兵は、ふたたび、ザッザと無口に歩き出していた。――するうちに、味方の殿軍三十騎も追いついてきたが、
「敵の山手隊は支離滅裂のまま、今のところ、この道すじを追って来る敵もありませぬ」
と、いう。
「よしっ」と、正季は「――ならば一ト涼みしてよかろうぞ」
と、附近の木蔭で兵馬を休めた。長田神社の森だった。
次いで、五郎の報告も、ここで聞く。
それによると、二本松にはもう友軍の本陣は見えぬ、とある。そして西国街道に沿う民家には火が放たれ、いちめんな薄煙のため、直義の軍も、菊水の旗のありかも全く見とどけにくい。――が事によったら双方とも、一時、宿場の火勢をさかいに、遠く引き分れているらしくも思われるとのことだった。
「して、尊氏の水軍は」
「あらまし、はるか東の、生田方面の岸へ、攻め上ったように望まれまする」
「さては、それに引かれて、義貞は二本松も捨て、あわてて生田へ退がったものか?」
正季はここに、孤軍の感を、ひしと胸に持ったらしい。どこにも、菊水の旗は見えぬという。兄はなお生きているのだろうか。