Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
「いたか」
と、見つけた迷子を見るように正成も言った。
「弥四郎は」
「こ、ここですっ」
「正隆、正遠、正光らもおるな。逸しはしたが、尊氏もきもにこたえたはず、直義とて同様。このうえは雑軍端武者の手を待って死ぬはおろか」
「おうっ、ほかへ行きましょう。一同打揃ッて、心しずかに、さいごを」
「そうだ、血路をひらけ」
その正成の駒を、親のごとくみなおおいつつんで、ひた走り北のほうへ駈け出した。――と知った敵軍は、野面いッぱいに唸りを揚げて、巡り巡り、行く手を断つ。
「突ッ込みましょう! 薄いところへ」
正季は兄のうなずきを見た。
と、弥四郎正氏が、
「おやかたも、龍泉どのも、蹴ちらし蹴ちらし、ただ駈け通って行ってください。しんがりは、私がする!」
と、さけんだ。
敵はその持つ大兵力と驕りとにゆるんでいる。一方楠木勢は百人にも足らぬ少数となっていたのに、正成以下の者が獅子陣のごとき縦隊をあげて突ッ込んで行くと、さっと、大きなどよめきが水を割ったようななだれを見せた。もちろん、それがそのままではない。たちまち、鏘々戟々、渦まく乱戦と血しぶきへの移行となっていた。が、それも一陣の旋風に似て、突破は瞬時に成功していた。