Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
それは神に従ってゆく使徒のような信念と静かな眸とにかがやいている一ト群れの血泥に見えた。
道は部落へはいり、墓場みたいな土小屋が両側に見かけられるが、人影はどこにもなく、みなもっと山奥へ逃げかくれてしまったものであろう。軒かたむいた戸ごとから逃げ惑って行ったらしい嬰児のボロ布れやら食器の破片などが、そこらに落ちているのも傷々しく目に沁みて、正成は自分がそれらの加害者であるような罪の意識に問われずにいられなかった。
「ア。おあぶない」
ふと、正成がころびかける。いま死ぬ人、そして同じ運命に就く自分たちでもあるのに、隅屋新左や和田正隆は、あわててその両わきを扶けささえた。部落の横丁から道はゴロタ石をたたんだ石段となっており、上では、正季が待ち、中院ノ俊秀や矢尾常正らも先に来ていて、
「しばしお待ちを」
と、正成へ告げ、そして正季もこう言った。
「兄者、敵はまだ彼方です。この近傍には見当りません。ごゆるりとお支度あっても、よろしいかと思われます」
「……ここか」
正成は呼吸をやすめた。茅ぶき屋根の一宇の堂が前にある。なるほど、村人たちが念仏講に寄りあつまる時宗の道場でもあろう。