Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
それを見ると、みな正成に倣って、下へ坐った。――同勢七十余人、大床はあらまし、いっぱいだった。――正成はそのまんなかにあぐらを占めた。するともう、折々敵のどよめきが聞えてきた。それは潮の足なみに似、しかも、四面にせまるものだった。
「……あれは?」
と、人々は急に眸をせわしくした。敵の喊声はまだ遠くだが、死ぬのもなかなか心忙しい風騒だった。
「正季。われら一族みなここの一堂で自刃の態と知れば、敵も無下に襲せてはまいるまい。とは思うが、念のためだ、堂の外に、物見を立てよう」
「こころえました」
と、正季はすぐ二、三の者へ命じかけた。すると正成が、
「いや、その物見の者はわしが選ぶ」
と、言い、
「選ばれた者は、決して、異議は申すまじと、誓って欲しい。そしてただちに、床を立て」
と、かさねて言った。
「まず、神宮寺の新判官正房」
「はっ」
正房は、いわれたとおり、すぐ大勢の中から立った。
「安間了現」
「おうっ」
「次に、八木ノ入道法達」
「は」
「岸和田ノ弥五郎治氏」
「はっ」
人々は怪しみだした。正成はなお指名をつづけ、大床を見まわしては、止まるところもない風なのだ。そして七十余人のうちもう二十名ほどは立たされている。