Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

「これは、どなたかとおもいましたら?」

「足利どの」

と、准后の廉子は、ひざまずいた尊氏を見つつ、破れ御簾をうしろに、自分も坐った。

「訪う人もないこの幽居の御所へ、勝ちほこる側の将軍として、ようお訪ねくだされましたの。お話の模様は、蔭でうかがっておりました。あのような御諚ではあっても、御心のうちでは、其許の御真情を、おうれしく思しめされていたにちがいありませぬ」

「なにとぞ、あなたさまからも、叡慮をおなだめおき給わりますよう。心からおねがい申しておきまする」

「ご気性として、ひとたび、お誓いあそばしたことを、事の中道でお変えになるなどは、なかなか思いもよりませぬ。けれど、足利殿がいう公武一和のかたちとやらで、あなたの心からな臣節を、ここでもし、真実、おしめしあるなれば」

「もとよりそれが私のなすべき道と信じております。証拠のために、一端を申し上げておくなれば。……余の儀でもございませぬが、さきに践祚あらせられた持明院統の天子のお次には、ぜひとも、准后さまのお腹になる成良親王を推して皇太子におすえ申しあげたいものと、いまからその案などを持しております。――持明院統と、大覚寺統と、相互から出て交代に御位に即く――という、あの皇室の御法則を正しく践むべきだと思うのです。