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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

近習の頼春であった。釜屋働きの襷を解いて。

「殿。何ぞお召で」

「お」

と言って、尊氏はまた、遠い所の音を待つように面を澄ました。

「頼春。外は風だな。聞えなかったか?」

「はて。何かお耳に」

「しきりに山門を打叩く者があった。風の音とも思われぬ」

「それはどうも。……竈に火をたきつけておりましたので、つい、うかとしておりました。ことによったら、お待ちかねの右馬介が立帰ってまいったのかもしれませんな」

「いやいや、一両人でない、馬のいななきもしたようだった。うかと門を開けず、まず何者かをたしかめて来い」

頼春はかしこまって、すぐ外へ駈けだして行った。

そのとき、山門の外の者は、あきらめたのか、鳴りをひそめていた。が、なるほど少なからぬ人馬が騒めいている様子だった。

頼春は、太刀の鯉口をかたくつかんだ。武者の習性といっていい。すぐ不測な敵の襲来が胸をつきぬけていたのである。そこで彼はいわれたとおり、門扉のかんぬきもそのままに、まず何者か? また何の用か? を大音声でたずねていた。

そしてまもなく。

彼は、門外の者の答えを持って、もとの本堂へもどって来た。

が、尊氏は、はや勤行の座について、読経をあげていた。