Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
やがて、上座の辺で、
「――儂は、みかどのお使い、六条ノ少将忠顕」
と聞えたので、一同はすこし頭を上げた。けれど、
「みことのりです!」
と次いでの声に、背の波は一せいにまたしいんと沈んだ。
「かねて、当家をば」
忠顕の発音も、しばしは口の唾液を待つような渇きにカスれがちである。
彼自体が、ひどい疲労に耐えていたのでもあるが、成否の重大さにも、硬ばらずにいられなかったことだろう。その身なりも名和一族のきらびやかにひきかえて、彼は島以来の荒海藻にひとしい囚衣のままだし、もとより冠はいただかず、蓬頭垢面そのものだった。
「……疾くより、みかどにはふかく御たよりに思され、時あれとしておわせしが、宇内八荒のありさま、今や坐視あらせらるるに忍び給わず、ついに御意を決して、二十四日払暁、隠岐の柵より波濤をしのぎ出でられ、百難を排して、この伯耆沖までお渡りあった次第です」
「…………」
「さ候えば、即刻、みかどをお迎えし奉ッて、かねがねの手筈にたがわず、山陰の宮方をこぞり集められよ。――御諚、以上のとおりであるが」
忠顕はわざと、語尾のにごりを残して、
「お受けあるや否や。