Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

私本太平記

柳営日譜

柳営日譜

十月。晩秋の好晴。

北条高時は江ノ島の弁財天へ参籠して、船で浜御所へもどる海上の途にあった。

「なに。わしを清盛のようだとか?」

あの特有なかなつぼ眼で、高時は船中の船酒盛りの近習らを、ねめ廻し、

「ばかを申せ。すれや元々、北条家は“平家”であるには、ちがいないが」

と、ぺろと上唇を舐めた。

猫の目より変りやすいごきげんなのだ。人々は、それを言い出した北条茂時の方をつい見てしまった。若い茂時はただ、赤くなっている。

「わが娘を皇后に入れ、一門、摂関家と位階を競うた平相国であろうがの。――高時には、毛頭、さしたる野望はない」

波映が、酔の面をよぎる。

三ツ鱗の幕やら彩旗をなびかせた女房船、供船などの数十そうが、一列な白波を長く曳いて行く。その快も、高時の語を、弾ませていた。

「高時は、堂上などに、眷恋はせぬ。京にも負けぬ、鎌倉の京をここに築いて見しょう。あらゆる工芸の粋をあつめ、万華鎌倉の楽園を、一代に創って、その中で生涯する。……なんで、朝廷の空名などを、物欲しげに」

と、嘲侮をうかべ、

「さるによ」と、やや怒ッた青すじを、額にみせた。

「じたい、量見のおせまい天皇以下、事ごとに、関東を忌み恐れ、またこの高時を清盛に輪をかけた乱暴者と誤まっておる。