Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
ために、親の義辰は、寄手の諸大将から異端視され、鎌倉幕府の聞えも、もちろん、かんばしくない。本拠の石川城をすら外されて、こんな後方陣地に引きさげられているのも、そのせいだと嘆くのである。
しかも、千早が亡ぶか、寄手の長陣崩れに終るか、それの如何によっては、自策もきめておかねばならない。――ここ隠者の兵学眼からは、宮方か鎌倉幕府か、いずれに軍配を上げますかと、その日和見主義と子への盲愛に晦んだ親は意中の悩みをおくめんもなくさらけ出して訊ねるのだった。
「……さあて?」時親は返辞に窮した。「……わしも神ならぬ身」
寄手の兵数には、こんな分子も交じっていたのだ。それから答えを引き出せば、或る仮定は出せないこともない。けれど彼はただ顔を斜に向けて威儀だけをつくろッていた。自分は神でないとだけしかいわなかった。
時親は、まもなくまた牛の背で、元の街道の一行人になっていた。
「ぜひ、一夜は」
と、ひきとめられた散所ノ太夫義辰の陣を、逃げるように辞し去って来たのである。
何か、ほっとした気もちで、
「番作、なるべく急げよ」
と、そこで言った。
番作は笹のムチで、折々、牛の尻をたたいた。