Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
と、時親は灰みたいな老いの中に異常な熱をふと持ったようだった。
「……さて、日暮れも近そうだな、大蔵」
「今夜はどこに塒のおつもりなんで?」
「四天王寺と思うているが」
「じょうだんを仰っしゃってはいけませんぜ」
「なぜかい」
「堺や天王寺辺は、関東勢で、うっかり野宿も出来はしません。安全なのは、平野をすぎて淀へ出ちまうことですね」
「なるほど」
参ったという顔をする。
世の大乱も掌に載せて観ているような自負にみちたこの老兵学者だが、世間へ降りて来ては、とんと、自分の足もとにさえ晦いことをみとめずにいられなかった。寝泊りのこと一つでも、世間にあかるい大蔵の用心ぶかさにはおよばない。
「大蔵、まかせる。都へ入りさえすればいいのだ。道すじなどはどうでもな」
「ですが身を寄せる先の、おこころあては」
「大江匡房の裔が、壬生におる。いまでも居るとおもう。ひとまずそこへ送ってくれい」
番作は途中で加賀田へ帰してやり、あくる日の二人は、淀の堤を北へあるいていた。
淀へ出たのは、舟を求めるつもりだったが、これは大蔵の目算はずれで、糧米の輸送船や警兵の小舟はあっても、ただの淀川舟などは見かけもされなかった。