Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
そもそもの馴れそめは近江さまと於呂知よりは、ちと古いかもしれませんな」
「いうたな、大言を」
「されば極道にかけては、あなたにも譲りません。ゆらい、足利の御家風は、質素一式、婆娑羅の婆の字も知りませぬが、それでは御家人づきあいや柳営向きも巧くゆこうはずがなく、この国家老師直が、上府のつどには、白龍の家をねじろに、ちとばかり、お台所政治の方も努めております」
「それや大した内助だ。いくら鈍な足利殿でも、内には誰か一人ぐらい経理の才物がいるに相違ないと見ていたが、それが武蔵守師直だったか。師直と申す狒々だったのか。あはははは」
妓たちはすぐ言った。
「狒々とは何でございますえ」
「和漢三才図会にある獣だ」
「ま、おひどい。お口のわるい近江さま」
「したが、そちたちはわしを“箒ノ頭”といったりするではないか。箒よりはまだ狒々の方がましであろ」
「どうしてです」
「人間に似ている」
「人間に」
「人間以上だ」
「どこが」
「全身毛深うて」
「おおいやらしい」
「そして女に眼がない、酒に眼がない、すべて獰猛無比、人間もおよばんところだ。ただ、そこにおる師直はやや近いかな」
興にのッて、言いたい放題を、道誉は腹いせに言いちらす。