Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
そして七ツぐらいな女童が肩にからみついて母と客の話をしきりに横から邪魔しぬく。
右馬介は、たずねた。
「阿新どのは、お元気ですか」
そのことばで、ここの親子が何者か、素姓も分るというものだろう。日野の中納言資朝卿の後家なのだ。
阿新丸とは、佐渡ヶ島へ渡って、父の資朝に会おうとして会えずに帰ったあの少年なのである。
「……あの子はもうここにおりません。隠岐の先帝が、山陰の大山に拠って、み旗の兵をお集めと聞くやいな、菊王をかたらって、一しょに大山へ奔ってしまいました」
こう語るのも憂わしそうな母親だった。――日野家の領は、木幡の北にあるが、とうにそこは没収されている。あげくに良人の資朝は、討幕の元兇とあって佐渡ヶ島で斬られ、その遺児四人をかかえて、ここに落ちぶれ果てている親子なのだった。しかも子供らの生命すらも決して安心なのではなかった。
右馬介は、佐渡で会った阿新丸との縁で、そのごもしげしげここを見舞っていた。――また去年――高氏が羅刹谷から鎌倉へ帰る折には、日野俊基の美しい若後家、小右京の身を高氏から預かって、ここへ連れて来、ひそかに、彼女の身もこの家に頼んでおいてあるのだった。