Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
「ばかっ、藤夜叉のばかっ」
つづいて、一そう甲だかく、
「狡いや! もう止めだよ。藤夜叉! こんな物、あっちへ持って行ッちまえ」
と、不知哉丸の足のさきが、なお双六の駒を、けちらしているのであった。そのため右馬介は、顔を出すのも控えられて、しばらくは廊の遠くに畏まっているほかなかった。
「…………」
藤夜叉はまだ、右馬介の方にはなにも気づいていなかった。ただ胸がいっぱいな容子であった。この小暴君の暴君ぶりも、可愛くてたまらないのに、そのことと、母のじぶんの負け目とが悲しくからみあってしまうのだった。――そして、かつて道誉の魔手をのがれて、京の高野川へ身をなげた夜に作った左の瞼のうす青い痣のあたりまでも、涙の怺えにほのあかく耐えている横顔だった。
……が。やっと言った。
「ごめんなさい、若さま」
「知らない!」
「そんなこと仰っしゃらないで。……さ、やり直しましょう」
「ひとりでおやり! やりたいなら」
「だって、双六遊びはひとりでするものじゃないでしょ。ね、ごきげんを直して」
「そんならなぜおまえは、一人でするみたいなことをするのさ。ばかっ」
「ほんとに、ばかでしたわ。