Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
ただ黙々と流れゆく具足、馬蹄の音に、声なき辻が後にされるだけだった。
「下馬!」
声の下に、高氏も降りた。
鶴ヶ岡八幡の下だった。高氏は、山上まですすんで参拝をとげた。そして柳営の前では、ふたたび横隊の整列を令し、
「台命によりただいま出発いたします」
と、高時のいる桟敷のほうへ拝をした。
もちろん、高時は桟敷にあって、この朝の閲兵にはかくべつ眼をこらしていた。柳営の門は、高氏へ開かれて、
「すぐ、台下へ」
と、彼一人を、内へ通した。
高時は、きのうの人とは見えぬほど、今日はきげんもよく、愛想もよかった。自分の強いた難題もすべて高氏が素直にうけ入れたことを多として、大いに嘉しているのであろう。そのうえ高氏から約束の誓書をも差出したので、
「心底、確とわかった」
として賜酒の儀を取りおこない、さらに、源家重代の白旗をとり出させて、
「これは頼朝公の後室、二位ノ禅尼(政子)からわが家に伝わるものだが、出陣のはなむけに、其許へとらせる。この旗をかかげて、一日も早く兇徒を退治いたせ」
と、高氏へ与えた。
このほかなお、乗りかえ馬一頭に、こがね造りの太刀一振りを餞別して、