Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
綽々と余裕のあるじぶんの立場を道誉は言外にほのめかしたことらしい。高氏は彼の笑っている黒子に気づいた。見くだしているのである。優者が弱者に自己の弱点を思わせておくいとまを与えておく眼であった。
「して。足利どの、今日の御用は?」
「使者では心もとなきまま」
「はて、お身軽なことではある。大将ご自身」
「それほどな、折入ってのお願いの儀でもおざれば」
「ま、お待ちあれ、無駄なお手などつかれぬうちに、一言先に申しておこう。不破ノ柵は今暁から閉じ申した。このほうは近江の守護、鎌倉殿の代官だ。足利勢を通せとのかけあいならば、ごめんこうむる。ただし弓矢にかけても通るとならば、話はべつだが」
「何、弓矢にかけて?」
と言った高氏のその唇もとが、道誉の方には必然な挑戦の笑みかのように眼に映った。そこで道誉はまたも間髪をいれずに、こう言いかぶせた。
「おう、足利勢の何にでもかけて、通れるなら、通ってみられい!」
「いやそれほどなら」
と、相手の鉾を交わして高氏は逆に澄まし込んだ。
「自身、出向いてはまいらぬ。そこもとを、鎌倉殿の代官、いや高時公のご名代とも存ずればこそ伺ったので」