Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

「はて、いまさら何を」

「じつは、お手もとにお預かりねがいたい者を連れてまいった。一子不知哉丸と申すものを」

「なに、このほうにそれを預かれとな? 一体それは何の意味で」

「人質にです」

「人質に」

「ご不審でしょう。が、じつは鎌倉表を軍立ちの日、不知哉丸も使者へ渡すべしと、申しつかっておりました。……どうして高氏の、三河の隠し子のことまでを、高時公が御存知ありしか、その辺はわからぬが」

「……足利どの」

道誉は、刺された脾腹の刃を抜きとるような気色ばみで切り返した。

「お耳へ入れたのは、このほうだった。何かの世間ばなしが出た折にな。それが御辺には、まずかったか」

「よくもわるくも、昨日のことは昨日と過ぎた。今日はその質子を当城へ差上げにまいったのみ。……その子は当年十一、田舎育ちにて、体もひよわい者でおざる。ご面倒でも、お返しいただける日までお預かりねがいたい」

「筋違いだ。質子のことなど、何で道誉があずかり知ろう。鎌倉殿の使者へ渡すがいい」

「ところが、はやお聞き及びのはずだが、矢作ノ宿にて、それがしの手の者が、使者の宿所へ夜討をかけ、一行みなごろしにいたしてござる。