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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

さもなければ。――高氏が単身でこれへ来るなどの離れ業に出るわけもない。また、われから我が子を質子に連れてくる馬鹿もあるまい。

こうすべてに、あけっ放しな高氏が、彼には次第に利用価値の大きな愚直そのものにおもわれてきたのであった。

よし、ここは恩を着せておこう。望みどおり“むほんの旗”を進めさせ、倒幕の荒仕事は、ぞんぶん、彼にやらせておけばよい。そして、その収穫は、悠々とあとから我が手に収める工夫をしてもおそくない。――とっさに彼はそう考えた。軍事には自信もないが、その方には自信があった。

「足利!」

ふいに、道誉は立上がって、

「見せるものがある」

と、壁の前へ歩いて行った。

そこを押すと、壁の一端が袋戸のように開いて、抜刀を持った三名の武者が檻の豹みたいにかがまっているのが見えた。腹心の家来、田子大弥太、早川主膳、民谷玄蕃などだった。

彼らは、主君の唐突な行為にあわてて、

「あっ?」

と、ひとしく辱じるような顔を、まぶしげに、しかめ合ったが、

「去れ」

と、道誉はなんの廉恥のふうもなく、あっさり命じて、その者たちを追いしりぞけた。そしてそれを心証と見せるかの如く、高氏へいったのだった。