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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

すました櫛笥などを片寄せながら、さりげなく簾の蔭で答えていた。

「え、藤夜叉です。そなたは」

「今日、お供をしてまいった警固の桃井にござりまする」

「この身はまさか罪人でもありますまいに、なんで警固が要るのでしょうか」

「いや悪くおとりくださいますな。万一の惧れもあれば、明朝までは、かたく宿直を勤めておれと、殿のお心遣いをうけたまわっておるだけに過ぎませぬ」

桃井は何も知らない様子だった。けれど、万一とはどういう意味で高氏が言ったのか。藤夜叉はすぐ男の無情に挑まれて瞋恚の炎になるのであった。

が、桃井はそんな彼女とも気がつかずになお言っていた。

「ところが、たそがれふと、どこにもお姿が見えぬと騒ぎおりましたゆえ、役儀上、伺ってみたまでで、決して、監視の眼を光らすなどの悪意でではさらさらございませぬ」

「では、この身をさがしていやったのか。ホホホホ」と、わざとらしく。「ふと庭へ出て、庭をあるいたのですよ。心ないことでしたの」

「いやなに、お夜食の時刻でもございましたので」

「夜食?」

と、ちょっと、間をおいて。

「それよりは、不知哉丸は、どうしていますか」

「ここの侍女たちと、遠くのお部屋で、はや双六遊びなどに、他愛もない御様子にございまする」