Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
一方の茶堂では、宵すぎから茶堂らしくない殺伐な酒景を呈していた。たそがれ高ノ師直や仁木義勝らの一隊が、着陣の報をかねて、柏原からこれへ来ていたし、また佐々木方の重臣も加わって、両家合体の約が成った祝杯とばかり、その談合に、沸きかえっていたのであった。
つまるところ、上下一体、天下分け取りの分け前に、ひとしく気が立っていたのでもあるが、しかし、
高氏
道誉
の、じつは異夢同床の二頭目だけは、やや趣がちがっていた。いつか軍事上のことなどはそッちのけで、どっちも負けず劣らずの酒呑み大将といったような恰好だった。
「すでに一約の上は」
と、二人とも、赤裸になりあっているようにみえるが、酒に寄せて、じつは複雑な腹のうちの闘いを演じていると思われないことでもなかった。
もちまえの毒舌をしきりに弄ぶ道誉にたいして、高氏もぐでんぐでんな態で、彼の婆娑羅な若入道ぶりを、手ひどく揶揄したりするのであった。
相互の家臣は、はらはらしていた。
せっかくな約も一ぺんに破れ去るかと、いくども、酒の気を吹きさまされたほどである。だが、ふたりの舌頭の火花は、火花とみえた瞬間に、大きな笑い声となり、また、一同の爆笑となっていた。