Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
こうなったのも、あなたのせいだ。このさき、どんなことになってもあなたのせいです」
「しっ、静かにいえ。だからこそ高氏もわびておる」
「もうそんな優しげなお口にはのりませぬ。これまでのこともみな嘘ばッかり……。なに一つ誓ったことは果たしていず、あげくに、ここはおまえのふるさとだ、ふるさとに帰ったつもりになれとは、あんまり虫がよすぎます。このままになどいるものですか」
「ではどうする」
「一生つきまとって、あなたを責めずにおきませぬ」
「高氏のくるしむのが、おまえの眼にはたのしいか」
「でもあなたこそ、ご自分の大望とやらを遂げるためには、私などは、どうなってもよいのでしょ。いいえ、その恐ろしいお望みのため、この私までを、伊吹の入道の生贄にささげたではありませんか。何もかも夕がた私は茶堂のかげで聞いていました。あなたは私を天下取りの道具につかい、道誉は私をおもちゃにする。そんなために、十一年もの間、藤夜叉は、待っていたのではありません。女にも女の一念はある、生命はある。これからは身まま気まま、思うざま、男に恨みを返してやりまする。きっと、おぼえていらっしゃいませ」