Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
「もう来たか」
居眠っていた能登ノ介は、すぐ舟から跳んで上がり、都万の柵へかかっていた。
都万は島後の南端にある小さな港だが、ここばかりでなく、およそ舟出入りのある浦には、番所がもうけられていた。――帝の配所と外界との遮断のためであるのはいうまでもない。
「ご苦労だな」
彼の声と知った番卒たちは、びっくりして小屋から飛びだしてくるなり礼をそろえて言った。
「これは、別府様(彼の別称)でございますか。いずれへお越しで」
「甲ノ尾へ行くのだ。わずか二里余でしかないが、この間の大雪が、まだ途中に残っているそうな。馬を一頭出してくれい」
「甲ノ尾の館へおいでなされますか」
「おおよ、なぜ訊く」
「甲ノ尾からも、これへお先ぶれがございましたが」
「なんと申して」
「判官の殿が、島前の別府へおわたりあるゆえ、舟手の用意をいたしておけと」
「ほ。相違ないのか」
「ご覧じませ。あれにお船座も設えて、お待ちしおりますところで」
「そうか。それではここでお館を待つとしようか」
番所へ入って、彼はそこの大きな土間炉へ、さらに薪をくべさせた。
島前の別府にいるので、島では彼のことを「別府どの」