Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
一方。帝の左右の人々は、
「お上には、ご不例である。ご本復を仰がぬうちは」
と、一日のばしに、ここの配所がえを拒否していた。
夜々日々が猜疑の中の不安だった。たのみとしている警士中の宮方武士が、ことごとく島外へ追いやられた一事など、わけて行宮の内輪には手足をもがれたような衝撃だったにちがいない。
「ご油断はなりませぬ」
妃たちは、風の音にもつい恟々と眸をすます。
とくに帝のお口にされる朝夕の供御には、いちばい細かい心をつかった。妃の廉子は配所仕えの童僕、金若という者へ、いちいち「これを喰べてごらん」と、毒味をさせてからでないと、帝へお膳をすすめなかった。
が、後醍醐は声なく笑って。
「お汝らは、なぜ痩せるかとおもっていたが、あまり心を労しすぎるせいだったの。食はたのしんで喰べねば意味がない。食はすべて天禄だ。よも碗の中にまで北条は居るまい」
そんな戯れさえいったが、
「しかし、忠顕」
「はい」
「配所がえはぜひもないが、次の配所の地を明示せぬ法があろうか。北条の手下をよんで、問いただしてみい」
帝は一切、ここの支配者をさして、判官とも清高ともよばなかった。