Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
出雲の守護塩冶判官は、たよりにもしておられないお口ぶりなのである。
それにひきかえ、先ごろ四国の阿波からここへ来ていた海賊岩松の使者へは、大きな御期待のかけようで、その宵も。
「岩松の密使をここへ呼べ。もそっと詳しゅう彼の献言をきき、また、わが旨も充分に申しふくめておかねばならん。直々の面語も苦しゅうはないぞ」
密使の岩松吉致は、その晩、帝座に召されておそくまでさまざまな下問にこたえていた。
帝座といっても、廃寺の一院を補修したにすぎない行宮だ。それもこよいかぎりよそへ移される沙汰なので、妃たちは席にも見えなかった。
御簾もあるわけではない。
吉致は閾一ツへだてた次室に平伏し、帝との間には、千種忠顕と一条行房がひかえていた。
「若いの」
帝は吉致を見た初めに仰っしゃった。綸旨をさずけたり、じきじき、おん大事をかたるにはやや心もとないお気もちであったのかもしれなかった。
で、行房がたずねた。
「何歳に相なるのか」
吉致はそれに答えて、自分は岩松家の三男で二十五歳、長兄経家は三十三歳ですと言い。
「なおその間に、次男の兼正がおりますが、これは母系の一族、上野ノ国の新田義貞殿の領内、岩松と申す地に久しく在住でございまする」