Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
帝はすぐ、お耳をとめ。
「岩松は、新田一族なのか」
「さればで」
と、忠顕がいいたした。
「新田のみならず、足利とも、浅からぬ家系でございまする」
「新田、足利は隣国だったな」
「はい。――ひとくちに申せば、岩松家の祖先時兼は、足利家六世の男ですが、父の勘気をうけて、新田義重の食客となり、義重のむすめ来王御前をめとって領下の岩松に住みました」
「それが岩松の祖か」
「は」
「四国の阿波を領したわけは」
「その時兼が、承久ノ乱でうけた恩賞の地の由ですが、いらい本地よりは、阿波に住みついて、同所の仁和寺領や石清水八幡領の“領所預かり”などをしながら、しだいに海賊としての大きな地盤を、小松島ノ浦や勝浦ノ庄にかためてまいったものらしゅうござりまする」
「忠顕は詳しいようだが、当主岩松経家とは、前々から知るところがあったのか」
「石清水八幡の宮司、田中陶清をつうじて、都ではいくどかの面識もありまして」
ここまで聞くと、後醍醐も初めて「そうか」と大きくうなずかれ、お心もゆるして来た風だった。
石清水八幡の宮司田中陶清の後妻は、日野資朝のむすめなのだ。そしてかつての“文談会”の一員でもあり、帝のお耳にもしばしば入っていた者である。