Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
と、絶大な幕府崇拝の先入主までは疑いもしなかった。
ところが彼の耳にも近ごろはひんぴんと幕府の権威も疑われるような風声のみが地方(本土)から吹いてきた。たかをくくっていた金剛、千早もなかなか落ちず、吉野も強く、播磨では播磨の豪族赤松円心が、宮方に拠って起ち、四国九州も、蜂の巣をつっついたように、いまや騒然たるものがあるという。
「はて。甥めは、何をぐずぐずしているのか」
能登は気が気でなくなっていた。
二月は過ぎる。
ただし今年は閏だ、二月という月が二度かさなる。
おそらく、念入りで小心な判官ノ清高は、さっそく、配所がえの処置を鎌倉へ報じ、そしてもいちど、最後の断についての命を待っているのであるまいか。
事が事である。――いかに我武者羅な能登でも、島後から「いざ」という一使がやって来ぬうちは手を下すことも出来ずにいた。
「どれ、都の女でもまた見て来るか」
彼は、彼の住む別府ノ館を今日も出て行く。それも能登の役目のひとつなのだ。黒木の御所の丘からずっと下がった所の低地に、三人の妃を押しこめた木の丸小屋がおかれてあった。
妃小屋は、帝の御所よりやや小さい。