Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
「お美しいなあ、いつも」
能登は無遠慮に、ほれぼれと、その人の顔を見つめて。
「それでもうひと脂お肉づきがあれば、なお艶やかでおわそうが、ちとお目のくぼが青ぐろい」
「そうですか」
「はての?」
「なぜじっとそのように、私の顔を見るのです」
「でも、妙じゃと思うて」
「なにを」
「わが女房の妊娠も何度となく見ておるが、頬の瘠せやら肩のとがりやら、もしや?」
「え」
「まさか、あれではありますまいな」
「あれとは」
「帝のお胤などを」
「…………」
小宰相はしいんと眸を澄まして、そういう能登の猥らな唇を憎むように睨めかえした。ぱっと紅葉をちらした顔でもない。
「や、違ったかな」
能登は眼をそらした。自分でいい出して自分で頭を掻いたものである。
「男には分らん。分らんものを、見当違いな率爾であったら、ごかんべんを願いたい」
「…………」
「これやしまった。お怒りかの」
「いいえ。それほど窶れたわが身かと、はっと思っただけなのです。朝夕、鏡は見ていますが、見馴れるとあたりまえに見えるのでしょうね」
「むりはないことだ。いやつまらん冗談をつい先にしてしまったが、小宰相どの、近ごろ何ぞ、京か鎌倉の便りがお手に入りましたかな? ……。