Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme
とか「いいえ」と簡単に答えるが、殆んど話らしい話をしたことがなかった。……そのときも、気分はどうかと訊いて、彼はすぐに去るつもりだったが、夜具の上に起きていた妻が、もの問いたげな表情をするので、珍しくそこへ坐った。
髪もなでつけただけだし、化粧もしていず、寝衣の上に羽折を重ねたままのせいか、杉乃はひどくやつれて、神経が尖っているようにみえた。そして、彼が坐るのを待っていたかのように、
「どうぞ仰しゃって下さいまし、わたくし喜んでおうかがい致します」
と云った。彼には妻がなにを云うのか、まるでわからなかった。すると杉乃は、とつぜん唇を歪め、刺すような調子で、
「岡村さまのことでございます」
孝之助は妻の眼を見た。そして、自分がそのことを鉄馬から聞いたとき、妻もまた母親から聞いたのだということを了解した。
「そう、八束のことは笠井から聞いた、しかしわれわれには関係がないと思うがね」
「貴方はあの方の将来をみとおしていらっしゃいました、末を完うす方ではない、ひとを仕合せにすることのできない方だというふうに、……そうではございませんか」
孝之助は眼を伏せた。
「それがそのとおりになりました、貴方が仰しゃったとおりに、貴方のお眼の正しかったことが、こんなにも早く事実になったのです、どうしてこれを、御自分のお口からわたくしに