Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
十八
「橋寺さんだけやあれへん、丹生さんの奥さんかて、貞之助兄さんかて、あたしかて怒ってるわ」
と、幸子は直ぐあとに続けてその言葉を叩き着けたかったのを、さすがにぐっと嚥み下してしまったが、それにしてもこの妹は果して今日の失錯を「失錯」と感じているのであろうか、それならそのように、「済まなかった」と云う一言を夫の前で云ってくれるとよいのであるが、こう云う時に気が付いていても決してそれを云わない人であることを思うと、又しても面憎くなって来るのであった。
十八
橋寺が腹を立てた事情は、翌日井谷が訪ねて来て委しく幸子に話したので、一層明瞭になった。
井谷が云うには、聞けば昨日橋寺氏から丹生夫人の所にも電話があったそうであるが、私の所にも懸って来た、何しろあの温厚な紳士らしい人がひどく怒って、あのお嬢さんは失敬じゃありませんかと、私にまで喰ってかかる始末なので、これはただごとでないと感じて、直ぐ大阪へ飛んで行って、橋寺氏にも丹生夫人にも会ったが、なるほど、よく聞いて見ると、橋寺氏の怒るのも尤もである、と云うのは、事件は昨日だけでなく、一昨日から萌していたのである、一昨日、橋寺氏父子はあなた方に招かれて神戸の菊水で会食されたと云うことであるが、その帰りに皆さんで元町を散歩された時、偶然橋寺氏と雪子お嬢さんとが二人だけになったこと