Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
トン/\拍子
未だ申込まないんですもの」
「でもこの上御迷惑をかけたくありません」
「いゝえ、迷惑なことはありませんよ。出来ることならお前の註文通りにして上げたいと思って、お父さんもこの頃は考え込んでばかりいるんです。けれども万一の場合の覚悟さ」
「…………」
「まあ、お前は泣いているの?」
「いゝえ」
「馬鹿ねえ」
と母親は窘めたものゝ、矢張り涙をホロ/\とこぼした。
トン/\拍子
新太郎君は母親の面前を辞して二階の書斎へ戻った時、
「旗本が何だ? 町人で気に入らないなら、此方から御免蒙る」
と呟いた。流石は商人の息子だ。宮地さんから母親を通して伝わった先方のお母さんの態度が、グイッと癪に障ったのである。同時に先頃の電話の切り口上を再び思い出した。
「はゝあ、洋服屋さんでございますか?」
とは人を馬鹿にしている。銀座の西川といえば何処へ行っても下へは置かれない。洋服屋の註文取と間違えられたのは初めてだ。
「諦める。いや、貰ってやらない。誰が? 畜生!」
と大変な権幕だった。
机の上に肘をついて、髪の毛を両手で扱いていた新太郎君は間もなく、
「しかし秀子さんは何うだろう? 当の本人の料簡は。