Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
骨のある喃語
「あら。犬が来ましたよ。お家の?」
「えゝ」
「不審そうに僕の顔を見ている」
「西川さん」
「はあ」
「私、口惜しいわ」
「何ですか?」
「私、あなたの計略にかゝってしまったんですもの」
「計略?」
「えゝ。日外の電話で分っているわ。けれども私、態とかゝって上げるのよ、あなたの計略に。分って?」
「はあ」
「未だ私の心持次第で何うにでもなるのよ。分って?」
「はあ」
「それじゃ大切にして下さる?」
「無論です。何でも仰有る通りに致します」
「それなら堪忍して上げるわ。さあ、参りましょう」
「未だ宜いでしょう?」
「それ御覧なさい。それが仰有る通り?」
「参りましょう」
と新太郎君は屑く立ち上った。
「嘘よ、こゝでもっと話しましょうよ。未だ/\私、条件が沢山あるのよ」
と秀子さんは再び坐った。
「はあ」
「オホヽヽヽ」
「ヘヽヽヽ」
骨のある喃語
好い秋晴の日だった。微風だにない。池の面は鏡のよう滑かだ。鯉も安心して岸辺へ寄って来る。
「西川さん、私、勘定して見ると条件が十ばかりありますのよ」
と秀子さんは落ちついたものだった。
「いくらでも仰有って下さい」
「申上げますわ」
「何うぞ」
と新太郎君は膝に手を置いて偏に恭順的態度を執る。