Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えんようき

艶妖記

山本 周五郎

Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

――彼女は四方に鏡と燈を置いて、立ったり坐ったり横を向いたり身をねじったり、微笑したり澄ましたり愁わしげに眉をひそめたりあらゆる身振りと表情を四方の鏡に写して見る、飽きるまでこのナルシス流派を繰り返してから、「いいわ」と云って彼女はようやく母親に手を差し出した。

三つの座敷をぶっ通した広間にはおびただしい燭台が並び屏風を立て、五十余人の客が膳部を前に、盃をあげながらこの家の羨望すべき幸運をたたえていた。なにしろこの一年間にごんえむ殿は三千両も儲け、質流れの田地が三町も殖えた。そればかりではない下松町にいま評判の成木持助という者がいる、大阪の大きな材木問屋の二男だそうで、つい十月ばかりまえ下松に二階造りの豪奢な家を建て、男女の雇人を十五人も置いて贅沢三昧に暮らしている、主じの持助はまだ二十五六だが、どんなに金満家なのか木山という木山を片端から買いあさり、「飛騨じゅうの山を裸にしてみせる」と笑っているそうだ。半年まえに権右衛門の持山を買いに来て、山見もせずにぽんと千両なげだし「これは手付けだけ」とあっさり帰ったが、二三日すると四頭の馬に千両箱を十二積んで来て、「これで負けてもらおう」