Japanische Klassiker mit Furigana
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はですがたまんねんわかしゅ
艶容万年若衆
三上 於菟吉
Lesen Sie 艶容万年若衆 (はですがたまんねんわかしゅ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.800 Zeichen · 67 Bildschirme
緑蔭にほの白く匂う空木の花もすでに朽ち、さすや軒端のあやめぐさ、男節句の祝い日がすぎて、まだ幾日も経たぬある日のことであります。
下谷徒士町、露月庵を訪れた、一人の客がありました。
折しも庵主の露月は、茶室がかった画室に閑座して、枠張の絖に向い一心に仕上げの筆を運んでいるところだったのです。
「申し上げます、根岸の大戸さまがお見えになりましたが――」
との、取次の言葉には見向きもせず、
「片里どのなら心置きない――客間にお通し申すまでもなく、失礼ながらこれへお連れ申すがよい」
と、気安く言って、自分は尚も絵絹に向っているのでした。
やがて、案内されて廻縁からはいって来た客人――年頃は主じとあまり違わぬ三十何歳、細い髷をすずしく結って、伊達好みの茶壁の着付、袴はわざと穿かずに、無紋紺地の短か羽織を軽く羽織って、もとより親しい仲と見え、閾ぎわに立ったまま、絵筆にいそしむ主じに話しかけるのでした。
「ホ、ホ、これはお仕事の邪魔をしはせなんだかの? あまり日和のよいままに、ついお訪ねをいたしたが、お忙しくば又の日を楽しみに、このままおいとま致そうかな」
恰度その時、画室の主じは仕事のキリが来て、絵ふでを無雑作に放下しながら振り向きました。