Japanische Klassiker mit Furigana
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme
しかしこの不快を与うるその大機関は、また古の武蔵野をこの戸山の原に、余らのために保存してくれるものである。思えば世の中は不思議に相贖うものである。一利一害、今さらながら応報の説が殊に深く感ぜられる。
秋骨君が言う処大にわが意を得たものである。こは直に移して代々木青山の練兵場または高田の馬場等に応用する事が出来る。晩秋の夕陽を浴びつつ高田の馬場なる黄葉の林に彷徨い、あるいは晴れたる冬の朝青山の原頭に雪の富士を望むが如きは、これ皆俗中の俗たる陸軍の賜物ではないか。
私は慶応義塾に通う電車の道すがら、信濃町権田原を経、青山の大通を横切って三聯隊裏と記した赤い棒の立っている辺りまで、その沿道の大きな建物は尽く陸軍に属するもの、また電車の乗客街上の通行人は兵卒ならざれば士官ばかりという有様に、私はいつも世を挙て悉く陸軍たるが如き感を深くする。それと共に権田原の林に初夏の新緑を望み、三聯隊裏と青山墓地との間の土手や草原に春は若草、秋は芒の穂を眺めて、秋骨君のいわゆる応報の説に同感するのである。
四谷鮫ヶ橋と赤坂離宮との間に甲武鉄道の線路を堺にして荒草萋々たる火避地がある。