Japanische Klassiker mit Furigana
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ひょうしゃくかんにんき
評釈勘忍記
山本 周五郎
Lesen Sie 評釈勘忍記 (ひょうしゃくかんにんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.889 Zeichen · 36 Bildschirme
彼女は仏像ではなかった、彼女自身に変化があったのか千蔵の眼が変ったのか筆者は知らない、「なるほど」千蔵は仏像でなくなったかな女の眼に微笑を送って頷いた。
「私は演説をつかうのが嫌いです、いまの言葉をこのあいだの延期の取消しとみていいでしょうな」
「――もう何誰もいらっしゃいませんわ」かな女は眩しそうに眼をそらした、「わたくし家の者には黙ってまいったのですから、もう帰りませんと、――」
「こいつを見せたかったんだがな、こいつを」彼は右手の拳骨を口惜しそうに押し撫でた、「然しまた折があるでしょう、そのときは胸のすくようなのを」
「わたくしにはいやでございますよ」
ああみなさん、こう云ったとたんのかな女の眼が想像できるでしょうか、詩人共が何千年このかた讃えて来、何万年の将来も讃え飽かぬであろうそのまなざしが。――彼は大馬場の角まで送っていってかな女と別れ、その足でいなり山の家を訪ねた。
「伯父上はお起きになったか」玄関で千蔵はこう呶鳴った、すると面前へ「やかましい」と云いながら紋太夫が出て来た、「なにを早朝からどなりこんで来たんだ」
「お返し物があるんです」千蔵はにこっと笑った。