Japanische Klassiker mit Furigana
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ひょうしゃくかんにんき
評釈勘忍記
山本 周五郎
Lesen Sie 評釈勘忍記 (ひょうしゃくかんにんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.889 Zeichen · 36 Bildschirme
二
「そしたら殴り返しゃあいいんです、簡単明瞭ですよ」
「黙れといったら黙れ、――手も早いが口も減らないやつだ、どう云えばいったい」
こう首を捻ったとたんに名案がうかんだ、黄金宝玉の如しとはいえないが一石二鳥の値打はたしかな名案である、老人はひそかにほくそ笑み手を擦った。
二
「おまえあの雨をどう思う」紋太夫は庭のほうを指さした、「もう四日も降り続いている返り梅雨のようなあの雨をどう思う」
「鬱陶しくってむしゃくしゃして堪りません」彼は見るのも厭だというように庭とは反対のほうへ顔をそむけた、「手の届くものならとっ捉まえて五つ六つぶん殴ってやりたいくらいですよ」
「そうだろう、然し相手が空では殴れまい、――また一つには、もう少し前へ出ろ千蔵」
こう云われて、なにげなく膝を進めるとたん、老人は拳を固めて甥の頭を殴った。ごつんと音がしたくらい手厳しく殴った。千蔵の躯はひくっと痙攣り、片ほうの膝と右手とが一種の運動を起こしかけた、これは意識の支配を受けない純粋の筋反射であって、交感神経の鋭敏な個躰には特に著しくみられる現象の一つである。紋太夫は本能的に片手で防禦姿勢をとったが、千蔵はどうもしなかった。