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Japanische Klassiker mit Furigana

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おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme

Aozora Bunko

そして馬車に乗りましたけれど、もう逃げるひまはありませんでした。

百人あまりの匪賊でした。風のように襲ってきました。十人ばかりの者が、銃や剣をさしつけて、馬車をとりまきました。ほかのものは、叫び声をあげ、ひとかたまりになって、向こうの村へ進んでいきました。

人のいないひっそりした村のようでしたが、村人達は家の中にひそんでいたのでしょう。そこへ、襲いかかったのです。そしてもう、激しい銃声がおこっていました。

その遠い銃声を聞きながら、十人ばかりの匪賊に囲まれて、キシさんと太郎とチヨ子は、馬車の中にじっと息をこらしていました。ただチロだけが、チヨ子の膝の上にきょとんとしています……。

匪賊共は、馬車をとり巻いたまま、中のようすをうかがっていました。

やがて、匪賊のひとりが声をかけました。

「お前達は、何者だ」

「ごらんのとおりのものです」と、キシさんが落ちつきはらって答えました。

二、三人の匪賊が、そっと馬車の中をのぞきこんで、みんなのようすをじろじろ眺めました。

「ほほう、手品か奇術でも使うのか」

「そうです、手品もやれば奇術もやります」

と、キシさんは言いました。