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Japanische Klassiker mit Furigana

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おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme

Aozora Bunko

甚兵衛は訳がわからなくて、まごまごするばかりでした。

「甚兵衛さん、甚兵衛さん」

どこからか自分を呼ぶかすかな声がしましたので、甚兵衛はびっくりしてあたりを見廻しましたが、誰もいませんでした。するとまたどこからか、かすかな声がしました。

「甚兵衛さん、甚兵衛さん」

その声がどうやら、馬の口から出てくるようでしたから、甚兵衛は馬の口に耳をあててみました。

「甚兵衛さん、甚兵衛さん」

その声で甚兵衛は急に思い出しました。

「やあ、お前は悪魔の子だな。何だってまだ馬の腹の中にまごまごしてるんだい。もう三月一日だぜ。約束の期限はきれたから、早く出て来いよ」

すると馬の口の奥から、悪魔の子が言いました。

「実は困ったことが出来たんです。いい気持ちで馬の腹の中に住んでいまして、毎日ごちそうをたくさん下さるので、のんきに構え込んでいますうちに、期限が来たのでいざ出ようとすると、私はまるまると肥って大きくなったと見えて、馬ののどにいっぱいになってしまうんです。無理に出ようとすれば出られないことはありませんが、馬が苦しいと見えて、この通り歯をくいしばって暴れて困ります。ですから、馬に一つ大きなあくびをさして下さいませんか。